読んでいただきたい!今月のお勧めの本「ラットマン」
「ラットマン」 道尾 秀介著
姫川亮は高校時代に同級生3人とともに結成したアマチュアバンド“Sundowner”のギタリスト。
変化も特にないまま細々と続けて14年になる。唯一の変化はドラムが恋人のひかりから彼女の妹・桂に交代したぐらいだ。
だが、姫川とひかりの関係には変化が生じていた。
そんなある日の練習中に事件が起きる。それは、姫川の過去の記憶を呼び覚ますの
だった。。
相変わらずミスディレクションがたっぷり用意してある物語である。
騙されまい、と思っていても結局最後には驚かされてしまうので、もう構えて読まない方が良いのかもしれない。
『ラットマン』という題名も、これしかないと言わんばかりのモノである。
ちなみにこの“ラットマン”とは、簡単に言うと物事を見るときにその前後の出来事で見方が左右されてしまう現象の事。
この物語では過去と現在で2つの事件が起きるのだが、それらがまさしくこの現象を示している。
話を読み進めて行くうちにどんどん重苦しい話になっていくのだが、最後の最後で何だか救われる形になる。
起こってしまった事は悲しい出来事なのだが、結末は考え得る限りの最良の物だったという感じ。
途中途中で散りばめられていた謎も全て解決して話は終わり気持ちは良いのだが、まあ多少モヤっとする点もある。
例えば、姫川の過去の事件。彼の父は本当にそこまで考えていたのか。
現在に起きた事件では、わずかな時間で姫川はとても多くの事を考えているが、実際問題可能なのか。
まあ姫川がとても頭の切れる人物であるならばアリなのかと思うが…。
「合理化」と言う心理規制によって人間は同じものでも見る角度によって多様に変化する。
これは私たちが日常生活している局面でも、仕事でも同じことが言えるのではないかと思う。
人生は芸術作品の模倣である。
将来の目標をしっかりと持ち、その目標に向かって一生懸命やらねばならない事を真似をし、継続する努力を続ければ、人生必ず誰でも成功すると思う。
あとは、「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」でその人の人生は大きく変化してくると感じた作品でした。